東埼玉バプテスト教会




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東京五輪2020クリスチャン視点で観る注目アスリート

競泳・萩野公介選手



「基本的に自分は人に興味がないんです。納得のいくレースをして、自分が満足のいくタイムを出すか、それが僕にとって重要なことなんです」と豪語し、2016年リオ五輪では金メダルの栄光をつかんだ萩野公介(はぎのこうすけ)選手。栃木県小山市出身。
ところがその2016年リオ五輪の後、古傷の右ひじにメスを入れて手術してから成績は低迷、ついに2019年の2月には自己ベストを17秒も下回る記録を出し、彼はついに恩師である平井伯昌コーチに呟きました。「先生、水泳がつらいです」と。その後、3月には自身の公式サイトで「理想と現実の差が開いていき、今は競技に向き合える気持ちではない」とコメント、無期限休養を宣言しました。
そんな彼が手にしたのはオバマ大統領の就任式の祈祷を担当したサドルバック教会のリック・ウォレン牧師『人生を導く5つの目的』(日刊スポーツでも写真付きで紹介されていました)。実はこの本、あの「水の怪物」こと(五輪だけで23個の金メダル)、マイケル・フェルプス選手※を燃え尽きと家庭問題から救った本でもあり、そのことをネットで知った萩野選手、すかさず読書のリストに加えたのだそうです。
それから2年半。萩野選手は見事に復活、今回の東京五輪・競泳男子200m個人メドレーで6位に入賞しました。ですがそれ以上に素晴らしいのは彼のコメントです。「人に興味はない」と言い放つ彼はもういません。そこにいたのは、自分自身より圧倒的に偉大な、人生を導くお方である神を強く意識し、人の応援に感謝した新しい萩野選手でした。リオの「記録」より、東京の「記憶」。メダルには届きませんでしたが、人として大きく成長した萩野選手に、私たちは心が動かされます。

「(ライバル・瀬戸大也選手といっしょに泳げる)(決勝は)神さまがくれた贈り物としか思えないです。たくさんの方々の応援があってここまで来られたので、自分らしい泳ぎで恩返しできればいいなと思って、一心に泳いだらこんなにすごい贈り物を神様がくれて、本当に幸せです。」

「僕自身はこの五輪が一番幸せだったと思う。ロンドン、リオはメダルを獲った。今回は順位は悪いけど、一番幸せな五輪だった。結果にこだわっている人から見たら"何を言ってるんだよ"となるかもしれないけど、僕自身はそうは思わない。そういうことにとらわれて、前ばかり見て、しんどいなと思った時に後ろを見たら応援してくれる人がたくさんいてくれた」

※今回の東京五輪にはNBCのプライムタイムの記者として、いくつかの水泳競技でコメンテーターを務めていました。競泳引退後のセカンドライフでは、自分の体験を生かして、メンタルヘルスで苦しんでいる人をサポートしたりそのためのシステム・アプリを作ったりしているそうです。「メンタルヘルスは僕と僕という人間にとって非常に身近なものだから、スーパーヒューマンとかスーパーヒーローであるマイケル・フェルプスではなく、マイケル・フェルプスという一人の人間として、人々に手を差し伸べようとしている。僕にとって人々を助けることは、メダルを獲ることよりずっと意義深いことだからね」と『USA Today』に語っています。