東埼玉バプテスト教会




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『被害者家族が加害者を抱きしめる』



「互に情深く、あわれみ深い者となり、神がキリストにあってあなたがたをゆるして下さったように、あなたがたも互にゆるし合いなさい。」エペソ4:32

アメリカ・テキサス州で自宅と間違えて入った部屋で、そこに住む黒人男性を射殺した白人の女性警察官が懲役10年の判決を受けました(求刑28年)。被害者の弟がこの被告の女を抱きしめて赦したことに賛否両論が沸き起こっています。

アンバー・ガイガー被告は去年9月6日、テキサス州のアパートで自宅と勘違いして1つ上の階に住む黒人男性ボッサム・ジーンさんの部屋に侵入し、ボッサムさんに遭遇。アンバー被告はボッサムさんを不法侵入者と勘違いして、ボッサムさんを射殺してしまいました。ガイガー被告は事件当日、14時間の勤務を終えた帰宅したところで、警官の制服を着たままだったそうです。被告は「その時は殺されると思い、怖かった。神に赦しを乞いながら毎日、自分自身を憎んでいます」と裁判では証言していました。そして彼女はこの罪で懲役10年の有罪判決を言い渡されました。アメリカでは有色人種の人を撃った白人警官が裁判で罪に問われないことが多く、この事件でも被告の元警官が白人、犠牲者が黒人だったことから、公平な裁判を求める抗議デモが繰り広げられていました。結果、懲役10年の判決、今度は一部では「刑が軽すぎる」と抗議するデモが行われています。

今回の判決が読み上げられた後、ボッサムさんの弟ブラント・ジーンさんは驚きの行動に出ます。何と裁判官にブラントさんは「可能かどうか分かりませんが彼女(被告)をハグしても(抱きしめても)良いでしょうか?お願いします。」当初は返答をためらった裁判官でしたが、ブラントさんがガイガー被告をハグしたいと再び訴えたため、許可しました。ブラントさんは証言台から立ち上がり、被告の元警察官に歩み寄って1分近く抱きしめました。法廷の空気は一変しました。youtubeの動画でもその空気の変化が伝わってきます。

ブラントさんは涙を浮かべながら「兄が戻ってくることはない。でもあなたが本当に悔いているなら神は赦して下さる」「そして私も自分自身のためにあなたを赦します。あなたを愛します」「キリストに人生を献げてほしい。それ以上に言うことはない」「それが兄が願っていることだと思う」とガイガー被告に語ったそうです。

自分のしたことを深く悔やみ続け、明確に罪を自覚している彼女に示された、弟と裁判官の姿は、私たちの罪のためのあがないの供え物であるキリストがモデルになっているかのような、美しい姿です。

「それであなたに言うが、この女は多く愛したから、その多くの罪はゆるされているのである。少しだけゆるされた者は、少しだけしか愛さない。」ルカ7:47